ニューロペディア「インフォームドコンセント(informed consent : IC)」

「正しい情報を得た上での合意」を意味する概念。
特に、医療行為(投薬・治療・手術・検査)や治験などの対象者(患者や被験者)が、治療や臨床試験・治験の内容について「十分な説明を受け、理解した上で方針に合意する」こと。

* ここでの「合意 consent」とは、双方の意見の一致・コンセンサスという意味であり、必ずしも提案された治療方針を患者が受け入れるということを意味しません。
また、患者が「先生に全部お任せします」といって十分に理解しようとせずにサインだけするような態度や、医療従事者が説得して方針に同意させるような態度は、ICとしては不十分です。

メディアで取り上げられる機会も増えて、ICは”言葉としては“すっかり定着した感があります。
しかし、実際の臨床現場では100%のICの達成は難しいものがあります。

ICの理想では、「なぜこの治療が必要なのか」「どのくらいの期間がかかるのか」「この治療をすることによる効果はどうであるか」「治療にかかる費用はいくらか」etc対象となる行為の名称・内容・期待されている結果のみではなく、代替治療、副作用や成功率、予後までも含んだ正確な情報が与えられることが望まれています。
しかし、どの程度までの情報を提供すれば「十分」なのかについては、具体的なガイドラインはないのが現状です。
*一部の医療機関では、腕からの静脈採血検査(通常の採血:比較的安全な検査だが血腫や神経損傷、失神などの副作用が生じうる)に対しても、同意を書面にて得ているらしい。

現実には、患者の理解力・判断力には相当の差異があるため、多くの情報を与えられたことで、患者が困惑・混乱してしまう場合もあります。

そもそもICは「従来の医療従事者の権威主義的な医療を改め、患者の選択権・自由意志を最大限尊重する」という理念に基づいて生まれた概念で、日本では1997年の医療法改正によって初めてICの概念が取り上げられました。

医療法

今のところ、ICの解釈は各医療機関の裁量に任されており、裁判例においても必ずしも見解が一致していないようです。
ICの言葉だけが一人歩きしないように、早期のガイドライン作成が望まれます。

** 最後にICの現状に関する興味深い考察を示した本をご紹介します。**


「ブルマーはなぜ消えたのか--セクハラと心の傷の文化を問う」(中嶋 聡著 : 春風社)から抜粋

医療において、インフォームド・コンセントという言葉が叫ばれるようになって久しい。

ある時期までは、というのは今から約20年前、1985年くらいまでは、医者が患者に対して病気や治療法について説明するというのは、一般的ではなかった。

もちろん多少は説明していたのだが、必ずしも真実を説明する必要はなく、必要に応じてごまかしたり、お茶を濁してもいいとされていた。

原則的に、パターナリズム、すなわち治療法は医師が決め、患者はそれに黙って従っていればよいというのが一般的な考え方だった。

(中略)

ところで、医療裁判の事例をみると、そのほとんどにおいて「医師の説明が不足していた」という言い分が出てくる。

この言い分は、一見もっともにみえるが、実は重大な問題を孕んでいる。

実際に説明が不足していたと単純に言えるケースもあるにはあるだろう。

しかし、先に述べたように実際の臨床ではある程度省略を加えないと説明ができないことを考慮すると、保険証券に書かれている約款のように逐一すべてでない限りは、どこまで詳しく説明しようと、なお説明が不足していたと言われる余地は残るのである。

さらに説明の仕方まで問題にされるのであれば、なおさらである。

ところが反面、患者の方は疑問な点はとことん医師に質問したのかというと、どうもそうではないようである。

訴訟記録をみると、ほとんどのケースでは、患者はあまりにもといっていいほど受け身であり、医師の説明を「受け取る」だけであったようにみえる。

日常臨床における私の印象から言っても、患者の姿勢は一般的に言って大体そのようなものである。

自己決定の原則からすれば、必要な質問を選び、また行うことは、患者の権利であり、また自らの責任でもあるはずなのにである。

また、自分から医師に詳しい説明を求め、いろいろ質問してくる人であっても、それらの説明や答えをもとに自分で判断しようという姿勢を持っているようには思えない人が多い。

疾患について詳しく説明し、治療法や薬についての選択肢も呈示して、「ではどうしますか」と問いかけると−−医師としては「当然のこと」をしているはずだし、またそれが患者の求めでもあったはずなのだが−−途方に暮れてしまったり、「薬は出してほしいが、副作用があるのでは困る」とか「(勧められた通り薬をのんで)早くよくなりたいが、でも薬には頼りたくない」といった二律背反の前に堂々巡りして、結局自分では決められず、どこかで医師が助け船を出さざるをえないという人が多い。

Aを選べばA’というリスクがあり、Bを選べばB’というリスクがある。

Aを選ぶということはすなわち{AA’}を選ぶということであり、同時にそれはBを断念するということでもあるのだが、「AはいいがA’は困る」とか「AもBもほしい。なんとかできないか」と訴える人が多いのである。

しかも、そのように詳しく質問する動機は、自分が正しく判断するために多くの材料を集めようとするというよりは、むしろ漠然とした不安からという場合が大半であるようにみえる。

私はこのことは、患者の側が、ということは要するに世の中の人々が、自己決定の原則ということを主張し、また裁判ともなれば重要な論拠として持ち出すけれども、実は多くの場合その意味するところを十分には理解しておらず、また本音としてはあまり望んでさえいないということを示しているのではないかと思うのである。

 「自分の体のことだから自分で決めたい」「自分で治療法を選びたい」と言いながら、多くの場合、そう言うからにはそれに伴う責任やリスクを自らが引き受けることになるのだという自覚は、持っていないのではないかと思う。

医療裁判の事例に引きつけて言えば、本音としては、医師に頼り、助けてもらいたかった。

別に自分で治療法を選びたかったと強く願っていたわけではなく、医師に最善の方法を決めてもらえ、治療がうまく行けば、それでよかった。

しかしそれが残念ながら叶わなかった事態を受けて、今度は近代市民社会の論理を持ち出し、闘っている。そんな風に思えるのである。

(中略)

実際には、内容が専門的であると、自分でいろいろ調べてみても、断片的な知識の寄せ集め以上の理解に達することはなかなか難しいのではないかと思う。

また、自分で質問事項を準備して医師に詳しく聞いたとしても、答えの意味をよく理解できないことも多いだろう。

その結果、自分ではなかなか正しい判断を下せない場合が多いのではないかと私は想像する。

それでも自分が判断することが重要なのだ、たとえその判断が客観的に見れば−−たとえば専門家の立場から見れば−−愚かなものであっても、それでよいのだ、というのが自己決定権の考え方である。

昔の日本には、伝統的に、このような考え方はなかった。

社会の欧米化に伴って、この20年位の間に急速に広まってきたものである。

この考え方は、一見もっともらしいが、しかし間違っているのではないだろうか。

世の中、自分で決められることもあるが、反面人にお任せした方がいいこともある。

中途半端な説明をいくら聞いてもわからないし、結局正しい判断を下すことはできない。

日本人は伝統的に、このようなとき、頭を下げて、「お任せします」と言っていた。

そしてその結果が自分の望まないようなものに終わっても、多くの場合、結局は最善の選択をしたのだ、自分よりはるかにその分野についてよくわかった人にお任せしたのであり、その人もできるだけのことをしたのだからと、自らを納得させてきた。

このような態度は、偉大な英知ではないだろうか。

人々は、事柄が難しくなればなるほど、自分だけで物事が完結しないことを知っており、それをうまく解決するような集団的なシステムに身を委ねていたのである。

もちろんすべてがすべて善意の人ばかりではないから、問題は起こるのであろう。

場合によっては、自己決定を原則とする社会では考えられないような理不尽な仕方で問題が起こり、それが理不尽な仕方で処理されるということもありえたであろう。 

しかし反面、自分がすべてに関与していない分、諦めることをより容易にするシステムでもあった。

「仕方がなかったのだ」と思えることは、必ずしも悪いことばかりではない。

(後略)

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ニューロペディア「インビザライン」

取り外し可能なマウスピース(アライナー)を使った見えない矯正の一種。
インビザラインは、不正咬合を治療するため、患者ひとりひとりのために、カスタムオーダーで製造される矯正装置です。3次元シミュレーションソフトによる治療計画の立案・検討を行った後、CAD/CAM(光造形)技術を用いて「アライナー」を制作します。
この「アライナー」を段階的に連続して使用することで、歯の移動を行います。
通常は2週間毎に新しいアライナーに交換しながら、一日20時間以上装着し、歯を徐々に移動させます。

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*歯の裏側に装置(ブラケット)を装着してアーチワイヤーの力で歯を動かす「裏側矯正(舌側矯正)」と比較して装置がシンプルなので、最近特に注目されている「マウスピース矯正」の中でアメリカのAlignTechnology社の製品がインビザラインです。それぞれの方法にメリット・デメリットがあります。症状やライフスタイルに合った方法を選びましょう。

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ニューロペディア「印象採得(いんしょうさいとく)」

歯型を採ること。トレーの上に寒天、アルギン酸、シリコンなどのペースト(印象材)をのせて歯列に圧接します。採れた歯型に石膏をついで模型を作ります。
* 皆さんも経験ありますよね?肩の力を抜いてー!鼻でゆっくりと呼吸して下さい!というやつです。裏側矯正(舌側矯正)の場合、診断用(保存用)と装置製作用の2セットの模型が必要になります(歯型は上下2回の計4回!)。

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横浜発・矯正歯科辞典 ニューロペディア

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